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医院ブログ

β2GPIネオセルフ抗体検査について

こんにちは。

培養部スタッフです。

 

今回のトピックは「β2GPIネオセルフ抗体検査」についてです。

妊娠された後、出産に至らずに流産するという経験は約10~15%の頻度で生じます。

こういった流産や死産を2回以上経験された場合、日本では「不育症」と定義されています。

「2回以上経験」は連続する必要はないため、間に出産を挟まれる方も存在します。

正確な頻度を算定することは難しいですが、日本では不育症女性は35~50万人程度と推定されています(こども家庭庁「不育症管理に関する提言2025」より)。

流産の原因として、最も多い原因は「胎児側の染色体の異常」がたまたま起こってしまったケースですが、それ以外にも

・血液が固まりやすい体質  ← 今回のβ2GPIネオセルフ抗体と関係あり!!

・子宮の形の異常

・ホルモンの異常

・ご夫婦の染色体の異常   などが挙げられます。

「血液が固まりやすい体質」とは、体の中で血栓(血の塊)ができやすい状態をいいます。

妊娠後に胎児に栄養を送る役割を持つ胎盤の血管に血栓ができやすくなり、結果として胎児への酸素や栄養の供給が不足し、流産や死産となると考えられています。

治療法としては以前にお伝えした「ヘパリン」や「バファリン」などを継続して使用していただくことで、流産や死産のリスクを減らし、出産まで迎えることができる可能性が高まります。

「β2GPIネオセルフ抗体検査」は、自己免疫疾患(本来は外敵から体を守る免疫システムが誤作動を起こし、自分の正常な細胞を攻撃してしまう状態)が原因で発症すると考えられる血栓症保因者であるかを調べる検査です。

こういった自己免疫の誤作動は生まれつきではなく、体質や環境などの様々な要因が重なって、後から血液中に現れるようになります。

 

例えば、ある日、風邪などの何らかの抗原(菌やウイルス)が感染したとします。

それにより引き起こされた炎症によって体内でネオセルフ抗体が形成されます。

このネオセルフ抗体が血管にくっつくことで、血管に病原体がいると誤認し、血管内皮細胞が攻撃を受けます。

これによって、傷ついた血管の損傷を止めるべく血小板や好中球といった細胞が活性化することで、血液が固まりやすい=血栓ができやすい状態となります。

 

妊娠後に形成される母体と胎児をつなぐ胎盤は母体血が噴き出す「絨毛間腔」というプールのような場所に、胎児の血管が通る「絨毛」が根のように浸かって酸素や栄養を交換しています。

血栓ができやすい状態となると、このプールや細い動脈の中に血栓がたまり、母体血の通り道が物理的にふさがれ、血流の妨げになります。

さらに血流が途絶えた部分の絨毛組織は、酸素と栄養が届かなくなり壊死し(胎盤梗塞)、二度と血液が通わなくなるため健康な胎盤の面積がどんどん減少し、血流が著しく低下して流産を引き起こす状態になると考えられています。

 

「β2GPIネオセルフ抗体検査」は2025年6月に厚生労働省により先進医療に認定され、最近注目を浴びている検査です。

検出の感度が他の検査よりも高いため、これまでの不育症検査ではリスク因子が不明と判断されてきた方の約20%で陽性と診断されるなどの報告あります(Tanimura et al. Arthritis & Rheumatology. 2020)。

また、この検査は不育症の先進医療の助成金の適応項目にも指定されているため、鹿児島県内の方で不育症の診断を受けた方であれば、検査の代金に対して助成を受けることも可能です(鹿児島市内在住の方と、市外で申請先が異なりますので必ず事前にご自身で確認をお願いします)。

 

最近では反復着床不全患者(複数回移植しても妊娠がむずかしい患者様)の約30%が抗体検査陽性と診断されたという報告もあり、今後不妊治療への応用も期待されています(Ono et al. J, Reprod. Immunol. 2023)。

 

当院では、既存の不育症採血・検査に加えて「β2GPIネオセルフ抗体検査」も実施しています。

気になる、、、また、検査するには、、、など何か質問がありましたら、お近くのスタッフまでお気軽にお声掛けください。

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