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医院ブログ

禁欲期間について

こんにちは、培養部です。
クリスマスのイルミネーションで、街が鮮やかに彩られる頃となりましたね🎅🏻🎄

今日は禁欲期間についてご紹介させていただきます。

禁欲期間とは射精と射精の間隔のことを指します。
数え方ですが、射精をした次の日からカウントし、1度射精してから次の射精までに24時間経過すれば1日、24時間未満であれば0日となります。

‟禁欲期間が長い方が、精子もたくさん溜まって良さそう。”と考える方もいらっしゃるかと思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
WHOの精液検査ガイドラインでは禁欲期間は2~7日と明記されていますが、最近の調査によると、禁欲期間が長くなると精液量、精子濃度、総精子数は増加しますが、逆に精子運動率は低下し、精子のDNA断片化率は上昇することが分かっています(UROLOGY , 2016 , 94 , 102-110)。

🍀DNA断片化率🍀
上記でご説明したDNA断片化率とは精子頭部に存在するDNAにダメージを受けている精子の割合のことです。断片化率が高ければ、DNAにダメージを受けている精子が多くなり、受精しない場合や受精したとしてもその後の受精卵が分割不良になる可能性が高くなります。つまり、DNAが断片化していない正常な運動精子が多い事が妊娠率を上げるためには重要な要素であると考えられています。

精液量、精子濃度が増加すると総精子数が増えるため、精子数が少ないと診断された方は溜めた方が良いと感じられるかもしれません。しかし、不妊治療では総精子数より精子運動率に着目しています。何故なら精子運動率が低い場合、卵管内で卵子に到達する精子が少なくなり、卵子と精子が出会えず受精しない可能性に繋がるからです。

精子の寿命は大体3日くらいだといわれています。その為、禁欲期間が長くなると精液中には古い精子が多く含まれることになります。上記で申し上げた通り精子の寿命は3日間と言われている為、溜めれば溜めるほど死滅した精子の割合が増え、活性酸素が発生し、正常な運動精子の割合が低くなり、全体的な精子の質の低下につながるということが予想されます。運動精子がたくさんおり、DNA断片率も低いとタイミング療法や人工授精、体外受精においても受精しやすく、妊娠率が高い傾向にあります。更には禁欲期間が長いと、新しい精子の生産を活性化させない、骨盤底筋という筋肉が衰えることにより勃起不全(ED)となる可能性にも繋がってしまいます。

以上のことより、「長すぎる」禁欲期間は不妊治療などにおいては推奨されていません。
そのため、人工授精、体外受精のためにわざわざ必要以上に禁欲していただく必要はありません。
精子の産生数は個人差があり、一概に何日間の禁欲が良いとは言い切れませんが、射精することや短い禁欲期間に抵抗や不安がある方もいらっしゃると思いますので、その時はDrやスタッフにその都度ご相談いただければと思います。

Shorter abstinence decreases sperm deoxyribonucleic acid fragmentation in ejaculate – Fertility and Sterility (fertstert.org)

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