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医院ブログ

胚のグレードについて

こんにちは。培養部です。

今回は胚のグレードについてお話させていただきます。

 

胚移植の妊娠する可能性は移植された胚の質によって変化します。質の良い胚を移植すれば、より妊娠が期待できます。

胚の質の評価方法は基本的に形態評価で、見た目で判断していきます。

この方法には分割期胚を5段階に分類するVeeck(ビーク)分類と胚盤胞を6段階に評価するGardner(ガードナー)分類があります。

 

【Veeck分類】:割球(細胞)の大きさの均一性と、フラグメントの多さで評価。

フラグメントとは分割時に発生する泡のようなものです。少ないほど妊娠率が高いと言われています。

Grade1…割球のサイズが均一でフラグメントがない。

Grade2…割球のサイズが均一でフラグメントが少しある。

Grade3…割球のサイズが不均一でフラグメントがない、または少しある。

Grade4…割球のサイズが均一または不均一でフラグメントが多い。

Grade5…割球がわかりにくくフラグメントがかなり多い。

例)7cellG3

7細胞Grade3。細胞数が7個で、各細胞のサイズが不均一、、、といった具合です。

 

平均的に培養3日目で8~9細胞まで成長していることが一つの目安となり、成長の速い胚は次の段階の桑実胚(分割した各細胞が1つに固まり、桑の実のような見た目となります。当院の報告書ではMorulaと表記されています。)となります。

 

【Gardner分類】:胚盤胞腔の広がり具合と内細胞塊(ICM)や栄養外胚葉(TE)の細胞数で評価。

内細胞塊は将来胎児になり、栄養外胚葉は将来胎児を育てる胎盤になります。

1…初期胚盤胞(EB)、腔が全体の1/2以下。

2…胚盤胞。腔が全体の1/2以上。

3…完全胚盤胞、腔が全体に広がった状態。

4…拡張胚盤胞、腔が初期の容積を超え、透明帯が薄くなりつつある。

5…孵化中胚盤胞、栄養外胚葉や内細胞塊が透明帯の外に脱出し始めている。

6…孵化後胚盤胞、胚が完全に透明帯から脱出した状態。

加えて、内細胞塊と栄養外胚葉の細胞数を、細胞数が多いほどA、少ないほどCで評価。

例)4AB

拡張胚盤胞で、内細胞塊は細胞数多めのA評価、栄養外胚葉は細胞数真ん中くらいのB評価、、、といった具合です。

通常BB以上が良好胚と言われていますが、細胞数は着床後に増えることもあるので、参考程度にお考え下さい。

受精卵は平均的に培養5日目で胚盤胞に到達します。

 

自然妊娠では胚盤胞が透明帯から完全脱出し子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。

胚凍結のとき凍結ポイントが胚盤胞になるのはそのためです。

分割期胚までは順調に分割していたのに、胚盤胞にまで到達できない胚もあります。

 

当院の治療方針で、採卵が初めての方に分割期胚と胚盤胞での二段階凍結をご提案することが多いのは、上記のリスクを避けるためです。貴重な周期に凍結も移植もしなかったということがないように進めていきます。

 

採卵の結果報告の際には培養士が説明に参りますので、ご不明な点等ございましたら遠慮なく質問していただければと思います。

 

朝晩が冷え込み始めてきましたので、急な温度変化に体調を崩されないようお気を付けください。

培養室からでした(*^-^*)

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