こんにちは、培養室です。
内容が重複しているところもあると思いますが、
今回は前回の続きからSEET法と2段階胚移植法の違いや目的についてお伝えできたらと思います。
まず当院の方針として、少しでも皆さまのご妊娠に繋がるように、プラスになることはできる限りやりましょうを根底に治療をご提案しております。その為、着床率が少しでも上がることを期待してSEET法を初回からスタンダードな治療法としてお勧めしておりますが、グレードの良い胚を移植しているにも関わらず、なかなか結果が伴わないという方もいらっしゃいます。このような着床障害と考えられる方に対して、合計2個の胚を移植する2段階胚移植法をご提案させていただくことがあります。
.*2段階胚移植法とSEET法*.
2段階胚移植法とSEET法は、ともに胚因子による子宮内膜の胚受容能の亢進による着床環境の改善を目的とした移植方法です。
単体の胚盤胞移植では、シグナルを送るタイミングがない為、胚移植によって子宮の中に突然胚がやってくる状況になり、子宮内膜の着床準備が不十分なために着床できず妊娠に繋がらなかった・・・という可能性も考えられます。
この胚盤胞移植の弱点を克服する方法として胚と子宮内膜のシグナル交換の概念を導入したのが2段階胚移植法です。
初期胚と胚盤胞を、同一の移植周期で日付をずらして2段階に分けて移植します。1段階目の初期胚が、胚のシグナルを子宮に届け、子宮をより着床しやすい状態へと促し、2段階目の胚盤胞を着床しやすくなった子宮へお戻しする方法になります。
2段階胚移植法は初期胚を2個お戻しするよりも妊娠率は高く、胚盤胞を2個お戻しするよりは多胎率が低いため、なかなか結果が…という方に対して試みる価値のある移植方法です。
しかし、2段階胚移植法は少なくとも2個の胚を移植し、先に戻した初期胚自身も着床する力を持っているので多胎妊娠を完全に避けることは難しく、お母さんや生まれてくる赤ちゃんの健康を考えて、できる限り双子以上の多胎妊娠を避けるようにすることが求められている昨今ではそこが難点となりました。
そこで新たに考えられたのが“SEET法について①”の時に詳しくご説明したSEET法です。
SEET法は、2段階胚移植法における1回目に移植する初期胚のかわりにSEET液を子宮に注入することで、子宮内膜の受け入れ態勢が整う且つ、2回目に移植する胚は1個に制限することができるため、多胎のリスクを減らしながらも2段階胚移植法と同様に妊娠率を上昇させることができます。
これがSEET法の最大のメリットともいえます。
以上が2段階胚移植法、SEET法の大まかな内容や違いになります。
長くなってしまいましたが、少しでもSEET法や2段階胚移植法について理解が深まりましたら幸いです。ただし、移植する胚の数は原則1個ですので、合計2個の胚を移植する2段階胚移植法を行うことができるのは、良好胚を反復して移植してもご妊娠に至らなかった方に限られますのでご了承ください。
また、ご質問がありましたらいつでもスタッフへお尋ねください(^^)