Loading...

医院ブログ

喫煙と不妊治療・喫煙と妊娠について①

こんにちは、培養室です。

徐々に暑さが増してきましたね🌴🌊

 

今回は、タバコが関係する胎児と不妊治療への影響についてお伝えしていきます。

不妊治療中・妊娠中どちらの方にも為になる情報をお届けできるようにまとめてみました📝

今回もボリューム満点になってしまいましたので2回に分けてお伝えしていきます🐰

 

 

途中、頭が痛くなるようなお話もつらつらと書き綴っておりますが、、、

よろしければどうぞご夫婦でご覧ください(*_ _)

 

目次 (おおよその内容目安です💦)

1.喫煙と不妊治療

(1).喫煙と卵子

(2).喫煙と精子 ←(今回はこちらまで)

2.喫煙と妊娠

3.電子タバコってどうなの?

 

 

それではまず初めに不妊治療で関わることから🌱

 

【1.喫煙と不妊治療】

不妊治療は先が見えない長距離走のようなものとよく例えられます。

治療中にしてはいけないこと、と調べるとあれもダメ、これもダメ!と沢山でてきます。全てを行うとなるとご自身が雁字搦めになってしまい、ストレスのもととなる可能性があります。それが原因で、不妊治療がより辛くなったりするかもしれません。当院では無理のない範囲であれば、治療から判定までにご自身の悔いが残らないような生活をしていただくことが1番とお伝えしておりますが、タバコは当院でもやめていただくよう指導する対象となっています。

 

何故かと申しますと、

喫煙と不妊の関係は、すでに明確に論文にて証明されているからです。

 

以下はその影響の端的なものですが、

・喫煙者では妊娠を希望してから授かるまでの期間が有意に長くなる。

・喫煙者の精液は、活性酸素濃度(細胞を障害する有害物質)が有意に高い。

・喫煙者の精子濃度は非喫煙者と比べて約24%低い。

(Vine et al.,1994)

 

などが挙げられています。

では、なぜ偏にタバコはダメ!といわれるのでしょうか?

そのメカニズムや原因の一端を以下にまとめました。

 

 

◆◇タバコと不妊症のメカニズム◇◆

・卵子と精子の質の低下

喫煙による有害物質は生殖細胞では血液中より濃度が高いため、生殖器官(精巣・卵巣)によく集積します。有害物質が血流を阻害し、血中FSH(卵巣刺激ホルモン)値が高くなり卵巣機能を低下させます。ニコチンなどの物質が女性ホルモンの分泌を抑制し、卵子の遺伝子異常を引き起こしてしまいます。その結果、卵子は老化し、受精率低下やフラグメンテーションの増加、胚盤胞到達率・着床率に悪影響を及ぼします。また喫煙は、流産や化学流産の頻度を上昇させ、受精卵の質低下や胎児奇形の発生増加にも関連します。女性が非喫煙者の場合でも受動喫煙で卵子の質が低下してしまい、妊娠が難しくなるリスクがあります。

 

また、女性だけではありません。

 

男性が喫煙していると、精液に含まれる精子濃度や運動率が低下する可能性があります。喫煙は精液中の白血球を増加させ、活性酸素を増加させるため、酸化ストレスによるクロマチンやDNAへのダメージが増加します。精子の奇形率も非喫煙者と比べて約13%上昇するといわれており、これらの精子の異常があると自然妊娠に影響を及ぼす可能性があります。

 

精子検査で異常が見られないという場合でも、遺伝子レベルでダメージを負っていて結果的に精子の受精能が弱くなっており、妊娠に結びつかないケースもあります。

 

精子にはDNAを修復する力が備わっていないため、一度壊れた遺伝子は元には戻りません

 

どんなに形態の良い精子でも、運動率の良い精子でも、その精子の核がどのような状態か(遺伝子レベルのダメージ)は通常の精液検査(顕微鏡下)で判断することはできません。

 

精子は酸化ストレスに弱く、酸化ストレスを受けることによりDNA損傷を生じるとされています。精子がDNAの損傷を受けている割合が高い方では、受精率や胚発生率・着床率が低くなり、流産率が高くなることが報告されています。もし妊娠されたとしても流産や死産のリスクになり、胎児の体重がうまく増えない出生時低体重児、先天性異常(奇形)などのリスクにもなり得ます。

 

精子所見が不良なとき、改善を目指す方法の一部として以下の事柄があげられます。

・精巣の血流を良くする。

・精巣の温度を上げない。

・バランスの良い食事を心がける。

・抗酸化作用のあるサプリメント

 

喫煙は血流を悪くするので、精液所見改善を目指すならまず、禁煙が必要です。

 

 

以上のことからも悪影響でしかありませんので、

不妊治療中はできる限り喫煙を控えた方が良いことに変わりはありません。

 

喫煙者の方にとって、禁煙することは大変お辛いことであると思いますが、

どちらか一方が喫煙者であれば、その隣にいる大切なパートナーもまた受動喫煙者として体内に影響を及ぼしてしまう可能性があります。不妊治療は、不妊の原因がはっきりしないことも少なくない中で、1%でも確率を高めようと、患者さまはもちろんですが、私たち医療関係者も全力で取り組んでいます。〔禁煙〕も立派な不妊治療の1つと言えるのではないでしょうか。

 

意識していくことが第一歩だと思いますので、未来のお子様のために、禁煙にむけてまずは徐々に本数を減らすところからスタートしてみませんか?

 

 

次回:喫煙と不妊治療・喫煙と妊娠について②

 

 

 

 

 

 

 

〔参考文献〕

・The Effects of Cigarette Smoking on Male Fertility. Postgrad Med.2015 Apr;127(3):338-341.
・Is smoking a risk factor for decreased semen quality? A cross-sectional analysis. Human Reproduction, Volume 22, Issue 1,1 January 2007, Pages 188-196.
・Sidestream smoking is equally as damaging as mainstream smoking on IVF outcomes.Human Reproduction, Volume 20, Issue 9,1 September 2005, Pages 2531-2535.

 

WEB予約WEB問診